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落下の解剖学

 


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【あらすじ】

人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラに殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。証人や検事により、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ<真実>が現れるが──。

 

【感想】

予告のイメージよりも静かで、ミステリーにしてははっきりとした答えが提示されない作品だった。パルムドールを受賞している時点でさもありなんなのだけど、予告のセンセーショナルな雰囲気から勝手にもうすこし激しく劇的な作品という先入観があった。地味めな法廷劇が長いので前日よく寝て観たほうがよい。(一瞬しっかり寝た)

期限に迫られながら自分ひとりで取捨選択をしなくてはいけない場面は生きていく中でめちゃくちゃたくさんあり、あまつさえ、自分が選んだり選ばなかったりしたことのせいで誰かをものすごく傷つけたり取り返しのつかない事態に発展することさえある。それでも自らの行いに責任を持って自分にとっての「真実」や「最良」を選び続けながら進んで行くしかない人生のつらさを改めて生々しく突き付けられる作品と感じた。

主人公サンドラと夫サミュエルの夫婦間の格差や倫理観の不一致があきらかになっていくある場面で、もし男性がサンドラと同じことをしていたとして大した驚きもなく、もし女性がサミュエルと同じことを言っていても何も感じないのに、男女が逆転した途端に一瞬でも「ムムッ!?」と思ってしまった自分のジェンダーバイアスのグロテスクさに気付き落ち込んだ。

結局本当のところがわからないまま映画館から追い出されるように突き放される結末もどうにもすっきりせず。この悶々とした気持ちで何日経っても作品のことを考えてしまい、これが映画を味わう…ってコト!?と、映画あじわいハチワレになった。

 

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